2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解顕微吸収イメージングシステムによる非蛍光性の生体試料の画像観測
Project/Area Number |
18685008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中林 孝和 Hokkaido University, 電子科学研究所, 准教授 (30311195)
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Keywords | イメージング / 細胞 / 過渡吸収 / 高調波発生 / フォトニック結晶 / 反射干渉 / 蛍光タンパク質 / 光散乱 |
Research Abstract |
本研究は, フェムト秒レーザーを用いて蛍光強度測定に代わる新たなイメージング手法を開発することを目的とする。特に過渡吸収と3次の高調波による画像観測を行う。本年度は, 過渡吸収および高調波の信号強度を十分に得るための装置の改良と半透明金属基板を用いた反射干渉および光散乱による非蛍光性の生体試料の高感度計測の提案を行った。高調波測定については, 高調波測定ユニットを購入し,新たに分光器などを導入した。基本波による迷光を抑え,高調波によるイメージ観測ができるようになった。過渡吸収については, フォトニッククリスタルファイバ(PCF)による白色光の揺らぎが, 観測を妨げる原因となっている。そこでファイバカプラを自作し, PCFも交換することによって, 波長帯域は狭くなったものの, 高安定の白色光パルスを得ることができた。製作した顕微分光装置に導入し, 過渡吸収の測定を現在行っている。製作した顕微分光システムは, 光学系が簡便であるために, 蛍光寿命画像測定などの他の蛍光強度測定に代わるイメージング手法にも応用することができる。また本研究の中で, 半透明アルミニウムをカバーガラスに蒸着させ, タマネギのリン片細胞からの散乱光を観測すると, コントラストの非常に高い散乱光画像を得ることができた。共焦点レーザー顕微鏡と組合せることより, 散乱光画像のZ軸分解能を持たせることができた。特にカバーガラスの界面において高いコントラストの画像が得られ, この界面選択的な高感度画像は反射干渉によるものであることがわかった。この金属基板を用いた共焦点反射・散乱光顕微分光法は, 非蛍光性の生体試料をZ軸分解で観測する非常に有力な手法になることを提案した。特に試料の界面構造を無染色で観測する有力な手法になる。また, 申請者らが製作した時間ゲート法と組合せることによって, 共焦点反射・散乱光画像と蛍光画像の同時計測が行えることも示した。
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