Research Abstract |
本年度は免疫測定キャピラリー作製法として,共有結合・物理吸着の2法を併用した方法を検討した。ここではキャピラリー内に共有結合で抗体を固定し,その外層に親水性ポリマーと混合した蛍光標識抗体を非共有結合で固定化した。このキャピラリーに抗原試料を導入した際の蛍光画像を取得したところ,わずかではあるが、抗原濃度に対応したキャピラリー内壁付近の蛍光強度上昇が認められた。この技術はキャピラリー内壁修飾技術として新規なものであるが,定量的評価を実施する上では現状のCCDカメラ検出では感度に限界があったため,より高感度な蛍光検出器が必要となった。そこで本年度は蛍光検出器を新規に購入して定量的評価を実施したところ,μg/mlオーダーの抗原に対し,検量線を得ることができることを明らかにした。また,昨年度,応答時間が問題となったグルコースセンシングについては,チアミンを用いた蛍光検出の応答時間改善が困難であったため,酵素固定化高分子膜を用いた方法も試みた。ここではチャネル内界面重合高分子膜を作製し,その両面に2種の酵素を固定化後,必要試薬を導入して蛍光強度を追跡した。その結果,約3分程度でグルコースに対する応答を得ることができた。また,フッ素化溶媒を用いるイオンセンシング系設計とセンシングキャピラリーヘの応用では,フルオラス溶媒可溶化高分子を合成し,その基礎特性としてpKa測定を実施したところ,その値が通常の溶媒系と比較して極端に低くなることがわかった。今後,さらに分子構造を検討してイオンセンシング系として完成させる必要がある。上記の方法はいずれも,本研究で目的としている多原理分析法集積化チップのセンシング用パーツ・機能として,極めて有用なものに展開できると考えおり,次年度も引き続き,検討を進める。また,フォトレジストを用いたPDMS チップ作製も実施し,実験系を確立することが出来た。
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