2006 Fiscal Year Annual Research Report
レドックスメディエーターを用いる新規非酸素酸化型光触媒有機合成反応の開発
Project/Area Number |
18685017
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 竜 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教授 (60356376)
|
Keywords | 光触媒 / 有機合成 / 酸化反応 / 可視光 / レドックスメディエーター / ベンゼン水酸化 / フェノール / 光電極 |
Research Abstract |
本研究は、従来の光触媒有機合成反応の問題点を解決するために、"レドックスメディエーターを用いる新規非酸素酸化型光触媒有機合成反応"を提案し、光触媒による有機合成反応に新たな可能性を開拓することを目的としている. 平成18年度は、各種光触媒薄膜電極の作成と、これらを用いて主にベンゼンの酸化反応を検討した.光触媒薄膜電極として、酸化チタン(TiO_2)、酸化タングステン(WO_3)、タンタルオキシナイトライド(TaON)の作成と特性評価を行った.TiO_2は市販品の微粒子を、WO_3はタングステン酸の加水分解によって得たコロイドを、それぞれペースト化し,導電性ガラス基板に塗布・焼成することによって高い光電流を得ることが出来た.またTaONに関しては、TaON粒子をペースト化し、これを導電性ガラス基板上に塗布・焼成後、さらに塩化タンタル水溶液を塗布・焼成することにより高い光電流が得られることが分かった.しかし、安定性に問題があったため、これに酸化助触媒として酸化イリジウムを適量担持することにより、高い安定した光電流が得られた. これらを用いて、ベンゼンの水酸化反応を検討した.その結果、酸素を含まない系において、ベンゼンの水酸化に伴う生成物が確認された.水酸基が1つ導入されたフェノール以外に、複数導入されたカテコール等の生成も比較的高い選択性で得られた.特に、酸化タングステンを用いて、紫外光をカットした可視光のみの照射を行うと、ベンゼン自身の光化学反応が抑制され、高い収率で水酸化生成物が得られることを見出した.比較例として、酸素雰囲気下において同様の反応を行うと、ベンゼンの芳香環の解裂や、過酸化による二酸化炭素の生成が確認された.また、TaON電極においては、他の2つの電極と異なる反応生成物が得られた.
|