2008 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学その場ラマン分光によるオキサイドケミストリーの新展開
Project/Area Number |
18685021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 隆 Tohoku University, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (40302187)
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Keywords | その場ラマン分光 / 酸素還元反応 / その場赤外分光 / 吸着反応 / 燃料電池 / 分光電気化学 |
Research Abstract |
昨年度までの成果としてラマン分光システムの改造を施し, 超高感度ラマン分光システムの構築を行うことに成功している. 一方, 一昨年度導入した電気化学分光解析システム(FTラマン分光・赤外分光システム)が本格稼動しており, 電気化学計測に追従できうる測定系が完成しつつある. そこで本年度は, 赤外吸収分光測定を併用したその場電気化学計測を行った.さらに, 電気化学赤外吸収・ラマンその場分光測定から, 半導体電極を用いたその場PL発光計測へと発展させている. これらの計測より, 電気化学の根源をなす電極界面構造改正の本質を解明することができている. 特に, 酸素還元反応の解析にいて, 電極表面に吸着した酸素分子の挙動について解析を行った. 電気化学的に酸素が還元される反応は, 酸素還元反応とよばれ, 古くから研究が盛んに行われているが, サイクリックボルタモグラム等の電気化学計測や超高真空を用いた金属表面に吸着した酸素分子に関する研究ののみが多数を占めており, 電気化学的な酸素還元反応をその場分光法にて解析した例は実験系の難しさからこれまで行われてこなかった. 電気化学的な条件下で酸素還元反応を進行させ, その場ラマン分光法にて電極界面からのラマンスペクトルを測定すると, 酸素分子に起因したラマン線が観測され, サイドオン型やエンドオン型といった吸着形式の中間体を取ることが判明している. また, この酸素分子の吸着は, 電極電位に依存している. この反応解析は, 科学の根源をなす反応として古くから注目されており, 当該研究課題にて反応経路解析に一石を投じている.
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