2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18685028
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中嶋 健 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (90301770)
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Keywords | 高分子一本鎖 / ナノフィッシング / 熱雑音スペクトル / バネ定数 / 粘性係数 / スペクトルアナライザ |
Research Abstract |
高分子一本鎖のナノフィッシングを実現するための最も簡単な方法であり、世界的にも広く採用されている方法は、基板と探針に対する高分子鎖の非特異的な物理吸着を利用するものである。しかしながらこの方法は問題点が多く、得られた結果を高分子鎖がもつべき物理量と相関させることに困難を伴う。そこで本研究では末端にチオールを導入した高分子を合成し、基板と探針として金を採用して、末端のみが固定端となるような良く定義された実験を行うという方針を取っている。 昨年度の最後に熱雑音スペクトルの中から高分子一本鎖の情報が引き出すという新規手法を実現すべく、高速ADボードと解析ソフトを導入し予備的実験を行ったが、本年度もその研究を引き続き推進した。低伸長領域と高伸長領域ではスペクトルに違いがあり、この結果は最終的には各々の状態におかれた高分子鎖の見かけ上のバネ定数と粘性係数という形で表現できることが判明し、従来行ってきた強制振動による粘弾性情報検出の結果と比較することができた。以上の内容については日本語の論文2報に記載している。また同内容で国際会議の招待講演1回、国内会議・セミナーでの招待講演6回を行った。 上記の予備的な実験の結果、熱雑音スペクトルによる方法が有効であることが確認できたので昨年度購入予定であった高感度スペクトルアナライザを今年度に購入した。現在、この装置を組み込んだ新しい測定系を構築中で、来年度早々にも実験を再開できる見込みである。なお末端チオール化高分子の新規合成に関しては精密重合の専門の先生と議論を繰り返し、ようやく実現可能な系を発見することができた。既に実現しているポリスチレン以外の系で実験を行うことにもようやく着手できそうである。
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