2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴による有機電界効果トランジスターのミクロ評価と特性制御
Project/Area Number |
18686002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸本 一弘 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (50293668)
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Keywords | 有機半導体 / デバイス構造 / 電界効果 / 電子スピン共鳴 / 伝導 / 有機トランジスタ / ミクロ評価 / 電荷キャリア |
Research Abstract |
本研究では、分子レベルで材料評価を行える高感度な手法である電子スピン共鳴(ESR)を、有機低分子を用いた電界効果トランジスタ(FET)に適用し、グレイン内やデバイス界面などにおける有機低分子集合体のミクロ評価を行っている。前年度に引き続き、薄膜FET研究を継続した。有機低分子材料にはn型半導体であるフラーレン(C_<60>)を使用し、導電性高分子中で最も電界効果移動度が高い立体規則性ポリヘキシルチオフェン(RR-P3HT)との複合膜を用いて、FET構造とほぼ同じ構造を持つ金属・絶縁体・半導体(MIS)ダイオード構造を作製した。そして両極性電界注入キャリアのESR観測に成功し、正キャリアがRR-P3HTに、負キャリアがC_60に起因することをミクロな観点で立証した。両極性電界注入キャリアのESR観測は世界で初めての例である。また、本年度から単結晶FET研究を開始した。ルブレンの単結晶を物理気相輸送法により成長させ、シリコン基板上に貼り付けて単結晶FETを作製し、電場誘起ESR測定法の開発を行った。そして、移動度が1cm^2/Vsを超える高移動度素子を用いて、電界注入キャリアのESR観測に成功し、電荷キャリアが全てスピン1/2を持つことを示した。また、単結晶FET界面の分子配向に起因したESR信号の異方性の観測にも成功した。有機単結晶FETの電場誘起ESR研究は世界で初めての例である。なお、以上の成果も含めたこれまでの有機デバイスのESR研究に対して、「電子スピン共鳴を用いた有機デバイスのミクロ特性評価法の開発」の研究題目で、平成19年度電子スピンサイエンス学会の奨励賞を受賞した。
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Research Products
(25 results)