2007 Fiscal Year Annual Research Report
局所的なスピン整列状態の操作-ナノスピンクラフトの試み
Project/Area Number |
18686004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細井 浩貴 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 特任助教 (00396334)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / 磁性 / 磁気記録 / スビンエレクトロニクス |
Research Abstract |
局所的な電化(スピン)整列状態の観察・操作を行う混合原子価系遷移金属酸化物表面であるマグネタイト(Fe_3O_4)-(001)表面の非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)観察を行った。当初は、昨年度までに行っていた走査型トンネル顕微鏡(STM)で原子像が観察可能な試料作製条件を用いていた。しかし、試料表面の平坦度がNC-AFM測定には適していないことが判明した。そこで、これまでのプロセスに加えて、Arスパッタリング、酸素雰囲気中でのアニーリング処理を施すことにより、NC-AFM測定を実現することができた。その結果、世界に先がけて、NC-AFMによるマグネタイト表面の原子分解能観察に成功した。得られた原子像の対称性はSTM像とは大きく異なっており、Fe原子がイメージされていない。また、NC-AFM像で見られる周期性が、結晶構造から予測される酸素原子の周期とも異なっていることがわかった。この結果は、測定されたNC-AFM像が、単純に表面構造を測定しているのではなく、マグネタイト表面で誘起されている電化(スピン)配列を反映している可能性があることが明らかとなった。 磁化変調型走査プローブ顕微鏡の開発を続行している。昨年度に問題となっていたZ粗動機構がようやく超高真空・極低温環境下で動作するようになった。そこで、顕微鏡の基礎的な性能を評価するために、超高真空・極低温・強磁場印加環境において、Si(111)-7×7再構成表面のSTM観察を行った。その結果、Si原子像観察に成功し、開発中のプローブ顕微鏡の基本性能を確認することができた。また、同環境下でのNC-AFM測定を行い、NC-AFMモードでの基本動作を確認した。
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