2008 Fiscal Year Annual Research Report
汚染物質のコロイド形態による土壌内移動と運命予測の解明
Project/Area Number |
18686039
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
川本 健 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50292644)
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Keywords | 土壌汚染 / コロイド / 吸着 / 移流分散 / 土壌撥水性 |
Research Abstract |
本研究では、汚染物質の土壌コロイド(粒径<1μm)吸着形態での土壌内移動と運命予測の解明を目的とし、今年度は室内カラム実験を行い, コロイド粒子の土壌内移動のモデル化の検討を中心に行った。本年度に得られた主な成果は以下の通りである。 1. 土壌コロイドの荷電特性の解明ならびに移動特性の解明 黒ボク土ならびに赤黄色土から抽出した土壌コロイド画分(粒径<1μm)の荷電特性を調べた。その結果, 黒ボク土抽出コロイドは変位荷電が, 赤黄色土抽出コロイドは永久荷電が支配的であることが明らかとなった。これらの多孔質媒体内での移動特性を調べるため, 砂層カラムを用いたカラム実験を行い, コロイド粒子の流出挙動およびカラム内でのコロイド付着分布を調べた。その結果, 両コロイドの砂層への付着は, 一次反応捕捉係数の大きさの違いとして表現されること, 黒ボク土抽出コロイドの移動はpHの影響を大きく受けることが明らかとなった。(投稿準備中論文2報) 2. 農薬の土壌および土壌コロイド画分への吸着特性の解明 黒ボク土および抽出土壌コロイド(粒径<1μm)への農薬(2, 4-ジクロロフェノキシ酢酸)の吸着実験を行い, 土壌有機物量およびpHが及ぼす影響について調べた。土壌と土壌コロイド画分への農薬の吸着量の差を定量的に明らかにするとともに, 黒ボク土における吸着予測式を提案し, その有効性を他の文献データを用いて示した。(論文1, 2) 3. 黒ボク土における溶質拡散係数の実測とモデル化 溶存態イオンの土壌内拡散現象を支配するパラメータである溶質拡散係数を, 黒ボク土を対象に測定した。その結果, 黒ボク土の溶質拡散係数は, 乾燥密度や土壌水分量変化にともない, 試料の団粒構造および間隙構造に強く影響を受けることを明らかとし, 乾燥密度や間隙屈曲率を指標とする簡便な溶質拡散係数予測モデルを提案・検証した。(論文3)
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Research Products
(18 results)