2006 Fiscal Year Annual Research Report
膜ろ過を核とした次世代型高度下水処理における医薬品の挙動解明と処理条件の最適化
Project/Area Number |
18686043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 克輝 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (10292054)
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Keywords | 下水処理 / 医薬品 / 膜処理 / 膜分離活性汚泥法 / ナノろ過膜 / 逆浸透膜 / 微生物代謝産物 |
Research Abstract |
近年、環境水や都市下水中から様々な医薬品がng/L〜μg/Lレベルで検出されており、これら低濃度の医薬品による人体への悪影響や薬品耐性菌の出現が懸念されている。従来の標準活性汚泥法(AS)は医薬品の除去について必ずしも有効ではなく、下水処理場が主な医薬品汚染源の一つとなっているのが現状である。一方、より高度な下水処理を達成できる技術として膜分離活性汚泥法(MBR)、ナノろ過(NF)/逆浸透(RO)膜が注目を集めている。本研究では、次世代の主流下水処理技術となる可能性のあるMBRとNF/RO膜処理の組み合わせに着目し、これらの処理による医薬品除去性、医薬品の除去機構についての検討を行った。 実都市下水を原水とした連続処理実験に基づき比較した結果、医薬品除去率は概してMBRにおいてASよりも高い値を示し、MBRの医薬品除去に関する優位性が示された。また、医薬品の種類やSRTによって医薬品の除去性は大きく異なることが確認された。溶媒抽出により汚泥に吸着していた医薬品の量を実測し、ASおよびMBR処理において吸着(汚泥の引き抜き)が医薬品の除去へ寄与する度合いを評価したところ、各プロセスでの医薬品除去における吸着の寄与は非常に小さく、生物分解が重要な役割を果たしていることが推測された。医薬品の回分分解実験においても、これを支持する結果が得られた。また、各医薬品の生物分解性は化合物間で大きく異なっていることが示された。 MBR処理水を原水として数種類のポリアミド製NF/RO膜を用いたろ過実験を行った。MBR処理水中には微生物の代謝産物に由来する高分子量有機物が数mg/Lのオーダーで含まれているが、これらの高分子量有機物の存在は後段にNF/RO膜ろ過を配した際の除去性に大きな影響を及ぼすことが確認された。
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