2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜ろ過を核とした次世代型高度下水処理における医薬品の挙動解明と処理条件の最適化
Project/Area Number |
18686043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 克輝 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10292054)
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Keywords | 下水処理 / 膜処理 / 医薬品 / ナノろ渦 / 逆浸透 / 膜分離活性汚泥法 / 代謝産物 |
Research Abstract |
下水再利用をも視野に入れた高度下水処理方法の一つとして、NF/RO膜処理が注目されている。NF/RO膜処理を直接生下水に適用することはできず、何らかの前処理を行った後の処理水をNF/RO膜プロセスに導水することになる。NF/RO膜への供給水(前処理後水)には、高分子量有機物が数mg-TOC/Lで含まれているが、この高分子量有機物は後段のNF/RO膜プロセスにおける医薬品類の除去性に大きな影響を及ぼすと考えられる。本年度は透析膜を用いた検討により、高分子量有機物と医薬品の結合に関する検討を行った。検討対象とした都市下水中において、GC/MSによる分析が可能となる濃度で含まれていた医薬品8種のうち、比較的疎水性が高い5種(carbamazepineなど)については、水中存在量中の10〜40%が高分子量有機物と結合しうることが明らかになった一方、親水性の3種(clofibric acidなど)については結合がほとんど認められなかった。高分子量有機物と医薬品との結合性を示す分配係数は、医薬品の種類、高分子量有機物の特性(起源)、pHによって大きく変化した。医薬品の分配係数は、これまでに報告されている農薬類や環境ホルモン類と同程度になる場合もあった。高分子量有機物と結合した医薬品類は、フリーの医薬品類とは全く異なった挙動を処理プロセス中においても、水環境中においても見せるはずである。今後は、高分子量有機物の影響も考慮に入れた上で、医薬品類に関する検討を行うことが必要となる。NF/RO膜の前処理としてはMBRが有望であるが、MBRの運転条件によって、発生する高分子量有機物の特性が変化することを明らかにした。
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