Research Abstract |
本年度は,圧縮強度150MPa級の超高強度コンクリートを対象に,材料実験として,温度履歴を与えたペースト及びモルタル供試体の自己収縮ひずみ,線膨張係数,内部湿度,自由水残存量,ヤング率,強度を継時的に計測し,自己収縮を予測するのに必要な各パラメータを練上り温度を変化させて,取得した。また,昨年度に引き続き実大実験を行った。養生時期をひび割れの多かった冬期として,ひび割れ抑制を目的として温度履歴,収縮低減剤の添加,収縮低減剤および膨張材を添加した3種について実施し,計3体の鉄筋コンクリート柱模擬部材を作成し,内部の鉄筋ひずみ,コンクリートひずみ,温度履歴を計測した。本年度に得られた新しい知見は以下の通りである。 [実験による成果」 ・シリカフュームを混入した超高強度コンクリートは,水和熱による高温履歴だけでなく初期練上り温度によっても異なる。練上り温度が低い場合に自己収縮が大きくなる。 ・シリカフュームを混入した低熱ボルトランドセメントの水和反応においては,高温履歴を経ても結合水量があまり変化しないことがあきらかになった。これは,高温履歴におけるシリカフュームの水和反応は水酸化カルシウムの分解とともに,低い結合材比をもつC-S-Hを生成する可能性を示唆するものである。 [予測モデルの開発] ・初期温度履歴に対応した自己収縮を考慮できる,3次元有限要素クリープ解析法によって,柱部材中に主筋平行方向の自己収縮応力だけでなく,縦ひび割れを誘発する方向にも自己収縮応力が生じることが解析的にあきらかになった。
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