2006 Fiscal Year Annual Research Report
可変摩擦ダンパーとMRダンパーによる複合型セミアクティブ制振に関する研究
Project/Area Number |
18686046
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
菅野 秀人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (20336449)
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Keywords | 制震 / 建築構造 / 機能材料 / 磁性 |
Research Abstract |
本研究は,粘性系可変減衰ダンパーと履歴系可変摩擦ダンパーを組み合わせた複合型セミアクティブ振動制御システムの提案を行うものである。 平成18年度においては,まず粘性系可変減衰ダンパーとしてバイパス式MRダンパーについて検討を行った。2kN級のMRダンパー試験体について動的加力試験と,3層の鉄骨造フレーム試験体の各層にMRダンパーを設置して地震波加振を行うセミアクティブ振動制御実験を実施した。これらの結果,多層での制御実験システムが構築でき,意図通りの制御が可能であることを確認した。またMRダンパーについては理想的な可変減衰ダンパーとはならず,粘性要素と摩擦要素を含むビンガム特性1を示し,粘性要素については速度のべき乗に比例する傾向を示し,ダンパー励磁により,この摩擦力と減衰係数が制御できることを確認した。 また各ダンパーの設置形式の検討を行うため,粘性系可変減衰ダンパーとしては動的加力実験結果から得られた数値モデルを,履歴系可変摩擦ダンパーとしては完全弾塑性の履歴特性を有し,摩擦力(降伏力)を可変に制御できる理想化モデルを用いて数値計算による検討を行った。ダンパーの設置形式について,2つのダンパーを直列または並列に複合させる場合,この複合デバイスの建物フレームへの設置形式はシアリンク結合が考えられ,デバイスとフレームを繋ぐ支持部材剛性が無視できないため,まずは支持部材剛性がセミアクティブ制御に及ぼす影響について検討した。この結果,制御則によっては支持部材変形によりデバイスに有効にフレーム層間変形が伝わらなくなり,有効な応答低減ができなくなることが確認できた。
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