2007 Fiscal Year Annual Research Report
フエの伝統家屋の設計方法と建築技法 -失われつつある伝統的技術の記録-
Project/Area Number |
18686048
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
林 英昭 Waseda University, 理工学術院, 助手 (70409671)
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Keywords | 建築史 / 東南アジア史 / 製作技法 |
Research Abstract |
本研究では,現地の伝統的技術保持者(大工棟梁)に伝統的住宅建築(以下,伝統家屋)の模型制作を依頼する.その制作工程を記録・分析することで,フエにおいて伝統的に継承されてきた建築技法を解明することを目的としている. 前年度に引き続き,今年度も1/5の伝統家屋の模型を二棟制作した. 今年度一棟目は設計方法の比較考察の必要から,北部の大工棟梁による「ディン」の模型制作を行った.「ディン」はベトナムの各村落において中心的役割を担う伝統的な大規模祠堂建築である.制作にあたり,17世紀の創建とされるハーナム省リーニャン県ヴァンサー村の「ヴァンサー・ディン」を実際に大工棟梁と調査を行い,各部寸法の確認を行った.これまでの大工棟梁による模型制作調査と同様に,梁行き断面図の設計方法,平面計画の方法,各部材の断面寸法計画について制作と並行して聞き取りを行い,整理した.併せて,制作の過程を聞き取り調査の状況も含め,映像として記録した.フエとは大きく異なる架構を成すことから,その設計方法においても大きな相異が予想されたが,特に柱間と屋根勾配の設計方法について,その具体的な相異を知ることができたことが大きな収穫であった. 二棟目は次年度に予定される1/1実験模型の制作に向けた確認とフエの設計技術の大工棟梁による個人差を把握することを目的として,これまでと異なるフエの大工棟梁に伝統家屋の模型制作を依頼した.他の模型制作調査と同様に,梁行き断面図の設計方法,平面計画の方法,各部材の断面寸法計画について制作中に聞き取り,整理した.制作過程と聞き取り調査の映像記録も同様に行っている. また本年度は,日本建築学会の学術講演会(九州),日本建築学会関東支部の研究発表会(東京)において,成果の一部を整理して報告している.
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