2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁性体/半導体接合におけるスピン注入・検出過程のダイナミックイメージング
Project/Area Number |
18686050
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷山 智康 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (10302960)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 磁性 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
本研究で購入したクライオスタットを、室温時間分解Kerr効果測定装置に組み込むことにより、低温で測定可能な時間分解Kerr効果測定装置を作製した。これにより、スピン注入により生じる半導体中での非平衡スピンの過渡過程をピコ秒からナノ秒の時間スケールで測定することが可能となった。スピン注入の過渡過程の時間スケールは数10ピコ秒から数100ピコ秒であるため、本研究で構築する測定装置により計測が可能となる。 現有のMBEを用いた2段階反応性蒸着法により極めて平坦なマグネタイト/GaAs接合試料を作製することに成功した。作製したマグネタイトの磁気、電気特性を評価した結果、Verway転移が散漫になり、転移温度の上昇が観測された。この結果は、GaAsとマグネタイトとの格子ミスマッチによる面内歪みに起因するものと考えられる。次に、上記の低温光学装置を用いて円偏光を照射してGaAs中にスピン偏極電子を励起し、マグネタイトによるスピンフィルター効果をロックイン法により計測した。逆方向バイアス下では基本的に磁気円二色性に起因する信号が検出されたが、ゼロ磁場付近および順方向バイアス下でスピンフィルター効果と推察されるヘリシティ依存光電流のピークが観測された。また、マグネタイトの磁化ダイナミクスを上記設置した時間分解Kerr効果測定装置を用いてポンプ・プローブ法により測定した。ピコ秒の時間スケールで変化する特徴的なKerr回転の変調が観測された。現在、その原因について検討している。
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