2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18686053
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多々見 純一 Yokohama National University, 大学院・環境階報研究院, 准教授 (30303085)
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Keywords | セラミックス / 破壊 / 強誘電体 / 圧電体 / 走査型プローブ顕微鏡 / 非線形誘電率顕微鏡 / チタン酸バリウム / PZT |
Research Abstract |
走査型プローブ顕微鏡(SPM)に付設の圧電応答顕微鏡(PFM)および非線形誘電率顕微鏡(SNDM)を用いて、ハイブリッドナノフラクトグラフィー評価を行い、以下の点が明らかとなった。BaTiO_3単結晶では、破面はマクロには平坦なへき開破壊であったが、SPMの形状像から断面プロファイルから高さ0.2〜0.5nm、幅100nm程度の規則的なステップが観察された。また、PFM像では信号はほとんど0であったが、SNDM像では、破面に上向きの分極を示す強い応答が縞状に観察された。PFMよりもSNDMの方がより表面に近い領域からの情報が得られることから、BaTiO_3単結晶の破面近傍でのみ特異な分極構造を形成していることがわかった。また、結晶方位の異なる単結晶の破面でも同様の強い分極が確認されたが、ドメイン構造は異なっている様子が確認された。ドメインウォールの方向を考慮すると、破面の極近傍のこれらのドメインは正方晶のものではなく、他の低温相が存在していることが示唆された。このような破壊に伴う特異なドメイン構造の形成は、き裂先端の応力集中による局所的なドメインスイッチングなどを含めたBaTiO_3に特有の破壊の素過程に起因するものであると考えられる。PZTセラミックスについでも同様に観察を行った。PZTでは、PFMにおいて破面に対して正負の応答、すなわち、垂直上下向きのドメイン構造が観察された。PFMでは粒径程度の深さからの情報が得られていることを考慮すると、粒子全体で縞状のドメインを形成していることがわかった。一方、SNDMではすべて破面に下向きの分極を示す主の応答の護が観察された。SNDMでは深さ数十nm程度の情報が得られることから、特異なドメインスイッチングは破面の極表面で生じていると考えられ、破壊時のき裂先端での局所的な応力により誘起されたものと推測される。
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Research Products
(8 results)