2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18686057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助教授 (60294021)
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Keywords | 超弾性 / 金属間化合物 / 転位 / 逆位相境界 / 形状記憶合金 / 電子顕微鏡 / Fe / Al |
Research Abstract |
DO_3型構造を有するFe_3Al単結晶では、マルテンサイト変態に因らず、転位の可逆運動を基調として巨大な擬弾性を発現する。しかしながら、多結晶状態では、結晶粒界が転位の運動を拘束し、十分な擬弾性が得られなかった。そこで本研究では、Fe_3Al多結晶の集合組織を制御することで擬似的に単結晶化し、擬弾性特性の改善を行うとともに、その巨大な応力-歪ヒステリシスを活かして高減衰能を有する制振鋼板の開発に資することを目的とした。Fe_3Al多結晶に対し、600℃で80%まで温間圧延を行った後、800℃で1時間の1次再結晶処理を施すと、bcc金属の場合と同様αならびにγ-fiberよりなる集合組織が得られた。しかしながら、3%歪負荷の場合で回復率が30%程度しか得られず、擬弾性特性の抜本的な改善には至らなかった。その原因は、結晶粒径が100μmと小さく、粒界による転位の拘束効果が強く現れたためである。そこで、AlNならびにMnSといったインヒビターを添加し、より高温(1100℃)で2次再結晶処理を施すことで、集合組織の先鋭化ならびに結晶粒径の増大を図った。その結果、cube粒を初めとする結晶粒が1〜2mmまで粗大化し、回復率は60%近くまで増加した。しかしながら、異常粒成長する結晶粒の方位成分にばらつきがあり、集合組織の先鋭化は困難であった。したがって、今後は、2次再結晶処理の条件、インヒビターの種類・量を調整する必要がある。一方、動的粘弾性測定装置(DMA)で測定した内部摩擦の値は、多結晶であっても0.01を超え、Fe_3Alが制振材料として魅力的な素材であることが証明された。
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Research Products
(5 results)