Research Abstract |
簡易的でかつ効率的な微細軸の成形を目的として,自作放電加工機に放電頻度判別回路を付与し,走査放電加工により任意軸の成形を試みた。これまでの研究成果より,成形軸が微細化するに伴って,放電頻度が低下することが明らかとなっている。この現象を利用して,軸成形中に変化する放電頻度を指標とする判別回路を加工機に組込み,任意の放電頻度以下となった場合に加工を停止させた。この結果,20μm以下のバラツキで微細軸の成形が可能であった。精度的には十分ではないが,比較的高い電流値での適用が可能であることから,荒加工への適用が期待できる。 高速化と高精度を両立させるために,ツイン電源方式を構築した。まず,電気的絶縁性された2枚のプレートにより,任意のスリットを設置する。成形する軸は,それぞれのプレートに流れる電流を計測しながら,スリット間隙に対して追跡加工を行う。各プレートに対して個別に放電電源を設置し,両側から同等の放電頻度により加工する。この方法により,単一電源に比べて軸の成形速度が2倍程度まで向上した。また,両側放電により加工が安定し,軸長さ/直径比40の軸を成形することが可能となった。この場合の軸径は35μmである。 成形した軸により,絶縁性セラミックスあるいはシリコンなど機能性材料の微細穴加工を実施した。深穴加工においては,ピエゾアクチュエータによる高応答化,振動付与を実施したが,ある深さ以上になると加工が極めて不安定となった。そこで,スリット追跡加工により機上でスリット形状の電極を成形し,これを回転させながら穴加工を実施した。この結果,加工屑が効率的に排出され,深穴加工特性は大きく向上した。
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