2006 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル手法による単層カーボンナノチューブ成長の系統的検討と全体像の構築
Project/Area Number |
18686062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 優 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (50312997)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 化学蒸着法 / ナノ粒子触媒 / コンビナトリアル手法 / 成長機構 / 核発生と成長 / 体系化 / 高速成長 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWNT)はユニークな特性を有す代表的なナノ材料で、主にナノ粒子触媒を用いた化学蒸着法(CVD)で作られるが、合成技術は未確立である。本研究では開発済みの触媒探索法(CMD)を用い広範な条件を効率的に調べる。反応/触媒条件範囲と現象の対応を整理した上で、(1)触媒ナノ粒子形成と動的変化、(2)触媒粒子構造とSWNT成長モードの関係、(3)酸素源添加の効果、(4)SWNTの核発生と成長を検討、既往の知見もあわせ構造化しSWNT成長の全体像を構築する。 H18年度は、既有の円管型アルコールCVD装置を用いCo-Mo二元系触媒でのSWNT成長を詳細に調べた。異なるグループから異なる最適Co/Mo比が報告されているが、組成・担持量を網羅的に調べたところ、CO不均化で有効な1/2〜1/3、アルコールで有効な8/5の二つの領域が共存し、更に高アルコール分圧ではCoのみの第三の領域で高速成長することを見出した。また、基板加熱型アルコールCVD装置を立ち上げ、誘導期同定を試みた。石英ガラスを基板にCVDを行い上部窓からビデオカメラで観察すると、ヒータを光源として基板の透過率変化を追跡できる。誘導期の定性的な把握を行ったが、SWNT膜自体の固体輻射の影響で定量化には至らなかった。また、新たに円管型エチレンCVD装置も立ち上げ、微量のH_2O添加でSWNTを高速成長させる"super growth"の再現に成功した。触媒をAl_2O_3に担持した時のみ高速成長がおき、H_2Oに加えH_2も重要で、SWNTの高速成長条件は極めて狭いことが分かった。炭化水素改質の触媒能を有すAl_2O_3が炭素の取り込みを加速し、Al_2O_3の炭化失活をH_2OとH_2が抑えると考えられる。触媒の失活も検討、"super growth"ではCVD中のFe触媒の凝集・粗大化が本質的な問題になることが分かった。
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