2008 Fiscal Year Annual Research Report
組換え大腸菌を利用するシトクロムP450システムの機能強化
Project/Area Number |
18686067
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神谷 典穂 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (50302766)
|
Keywords | 生体触媒 / バイオ酸化プロセス / P450 / 細胞触媒 / 組換え大腸菌 / 補酵素再生系 / タンパク質連結酵素 |
Research Abstract |
近年、生体触媒の酸化反応プロセスへの応用が注目されている。一般に高温・高圧が要求され、反応の制御が困難であると同時に爆発性を伴う酸化反応を、常温・常圧で効率よく行うことが可能なバイオプロセスに変換する意義は極めて大きい。本研究では、Pseudomonas putida由来の可溶性タンパク質からなるP450システム (以下、P450camシステム) ならびにBacillus megaterium由来のP450-BM3(以下、P450-BM3システム)をモデルとして、大腸菌を細胞触媒として用いる超高効率なバイオ酸化プロセスの構築について検討した。前者について、P450camシステムに必須の3つのタンパク質成分のうち、補酵素NADHから供給される電子を媒介するプチダレドキシン (Pdx) と酵素部位であるP450camを、酵素反応により宿主内で融合する系の構築を試みた。具体的には、グラム陽性菌の外膜タンパク質の連結を触媒するSortase(ソルターゼ)と呼ばれる酵素の基質となるペプチド配列を、タグとしてP450camならびにPdxに導入し、P450camシステムの生体内融合化を試みたところ、融合タンパク質の存在は確認できたが、十分な連結効率を得るに至らなかった。本来、生体膜上で2次元拡散しながら反応を触媒するソルターゼを、可溶性タンパク質として細胞内で発現したことによる反応性の低下が主な原因であると考えられた。一方、後者のP450-BM3システムについては、グリセロールデヒドロゲナーゼによるNADHの再生系と、NADHの還元力をNADPHに転移する反応を触媒する可溶性トランスヒドロゲナーゼ(STH)をカップルさせる系を生体外で構築することに成功すると共に、合成した発色基質を用いた詳細な分光学的解析から、複数のタンパク質間での電子伝達の律速となる過程を明らかにすることができた。
|