2006 Fiscal Year Annual Research Report
基盤技術としての、高速低レイノルズ数流れ解析技術の開発
Project/Area Number |
18686069
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺本 進 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (30300700)
|
Keywords | 航空宇宙工学 / 流体工学 |
Research Abstract |
本年度は研究初年度であり、実験・数値解析の両面で今後の研究展開の基礎となる技術の構築を行った。実験面では、翼列クリアランス流れを模擬した曲がりダクトを製作して基礎的な流れ構造を確認するとともに、新規に導入した熱線流速計を用いて非定常速度変動分布の計測を行った。その結果、クリアランス流れと壁面境界層の干渉により複数の縦渦構造が形成されていること、また渦外周で速度変動が卓越していることを明らかにした。これらの結果から、干渉部のレイノルズ応力分布がクリアランス流れに影響を及ぼしていると考えられるが、本年度はレイノルズ応力の測定までにはいたらなかったため、H19年度にデータ取得・検討を行う予定である。数値計算面では、領域間接合に必要な乱数境界条件ルーティン(RFG)および高速流れの高精度シミュレーションに不可欠な高解像度衝撃波捕獲スキーム(WCNS)の実装・検証を行い、それぞれが必要な性能を発揮していることを確認した。次に、それらを実用に近い流れ場に適用し、その効果を確認した。まず、ガスタービンの壁面冷却を模擬した流れ場では、高精度シミュレーションによりレイノルズ応力の非等方性を再現してより実験値に近い冷却性能を再現することに成功した。また流れ場の観察より、冷却孔下流に形成される縦渦対の強度の違いが冷却性の予測精度に大きな影響を及ぼしていることが確認された。次に、ジェットエンジン排気より発生するスクリーチ騒音のシミュレーションを行い、新規に実装したWCNSルーティンが衝撃波と渦構造の干渉を精度良く解像し、実験で観察された騒音強度・指向性を再現することを確認した。また、騒音発生原因であるフィードバック機構が、従来言われていたノズルリップからではなく、ショックセルと音波の干渉でおきている可能性があることを明らかにした。
|