2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレート賦存層の弾性波減衰特性に関する室内実験・岩石物理学的研究
Project/Area Number |
18686073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 潤 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70282499)
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Keywords | メタンハイドレート / 弾性波減衰 |
Research Abstract |
室内実験について、予察的に弾性波減衰現象を観測し、波動伝播にともなう流体と固体との相互作用が減衰効果に寄与していることを確認した。具体的な実験方法は、塩水より氷が生成されていく過程(20℃から-15℃の温度範囲)における音響パルスの伝播特性を観察した。なお、当該温度範囲においては、塩水は液体系から固体-液体共存系へと変化するので、固体-液体共存系における弾性波減衰現象と流体部分(不凍水)の減少との関係に着目した。使用した周波数帯域は150kHz〜1000kHzである(減衰解析の際には、350kHz〜600kHzとした)。流体部分(不凍水)の測定においては、NMR(核磁気共鳴)測定にて実施した(Solid echo法、CPMG法)。CPMG法により、不凍水分のうち易動度の違いによる分類を可能とした。弾性波動伝播特性の測定結果として、弾性波速度については、液体系から固体-液体共存系に遷移する際に急激に増大し、最終的には液体状態の弾性波速度の2倍以上までに達した。減衰特性については、液体系から固体-液体共存系に遷移する過程において急激に低下し、さらに不凍水が減少するに従い減衰増大が続いた。以上より、高速度でありながら高減衰特性を有する現象を、固体-液体共存系における音響パルス伝播特性実験によって観察することができた。また、減衰値と不凍水分量との相関を求めることにより、流体と固体との相互作用が減衰効果に寄与していることがわかった。今年度はP波に関する情報を取得したので、次年度はS波に関する情報取得を予定している。
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