2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレート賦存層の弾性波減衰特性に関する室内実験・岩石物理学的研究
Project/Area Number |
18686073
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 潤 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (70282499)
|
Keywords | メタンハイドレート |
Research Abstract |
これまでの室内実験では、塩水から生成される固液共存系における弾性波減衰現象を観測し、NMR(核磁気共鳴)測定により得られた試料の不凍水分量と減衰値との高い相関性を示し、減衰メカニズムとして流体が寄与している可能性を示唆した。しかしながら、測定試料内における散乱減衰の効果の寄与分を評価していなかったため、内部減衰値の過大評価になっていた。そこで今回は、MRI(核磁気共鳴イメージング)測定により、試料における固液共存系の幾何学的分布を計測することにより散乱減衰寄与分を定量的に見積もった。具体的には、内径57×高さ60(mm)の円筒形の容器に2%の塩水を満たして、超音波伝播実験を実施した際に使用した恒温装置ならびに温度スケジュールにて、-3℃、-5℃、-7℃、-12℃の各温度においてMRI測定を実施した。なお、2%塩水にマグネビストを0.5mol/1になるよう加え、造影効果を向上させているが、この造影剤の投入による波動伝播ならびに凍結過程への影響は極めて小さいことを確認した。MRI測定は、Varian Unity INOVA4.7Tを用いて、固体・液体共存系における三次元イメージング(T1強調画像)の取得とバルク拡散係数(ADC)の導出を行った。得られた幾何学的形状を単純化したモデルを作成し、波動伝播の数値シミュレーションを行うことで、固液共存系での散乱減衰を見積もった結果、全減衰に対する散乱減衰の寄与は2割程度であることがわかった。さらに、塩水の冷凍プロセスに違いによる波動伝播特性の差異を確認するために、CAS(Cell Alive System)冷凍装置を用いて作成された固液共存系での波動伝播特性を予備的に観測し、これまで得られたものと異なることを確認した。次年度はCAS装置で作成された固液共存系をMRI測定する予定である。
|