2006 Fiscal Year Annual Research Report
倍数化を導く減数分裂:非還元性配偶子形成の遺伝機構の解明
Project/Area Number |
18687001
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (80264688)
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Keywords | 倍数性進化 / 2n配偶子 / コムギ / 進化遺伝子 / 種分化 / 種形成 / QTL / 種間交雑 |
Research Abstract |
本研究では、種間交雑・倍数化による新しい種の形成プロセスにおいて重要な役割を果たす、非還元配偶子形成の遺伝的メカニズムの解明を目指す。パンコムギ(Triticum aestivum、六倍体、AABBDDゲノム)の祖先野生種タルホコムギ(Aegilops tauschii、二倍体、DDゲノム)には、マカロニコムギ(T.durum、四倍体、AABBゲノム)と交配した場合、正常に成長し高い自殖種子稔性をもつF_1雑種(三倍体、ABDゲノム)を生じる系統(タイプA)と、正常に成長するがほぼ不稔となるF_1雑種を生じる系統(タイプB)が存在する。タイプAのタルホコムギ由来のF_1雑種は、特異な様式の減数分裂によって非還元配偶子を高頻度に形成し、F_2で安定な六倍体を生じる。本年度は、タイプAとタイプBの表現型の違いを利用し、非還元配偶子形成に関与する遺伝子を連鎖分析する系を構築する目的で、以下の2点に取り組んだ。 【マッピング集団の親となるタルホコムギ系統の選抜】昨年度までに選抜済みのタイプA(1系統)とタイプB(3系統)を交配し、F_1雑種を作出した。現在、これらF_1雑種は大学非加温温室にて成育中であり、2007年春に稔性を調査する。そして、稔性に問題のないF_1雑種を生じる組み合わせをマッピング集団の親系統として選抜する。 【分子マーカーの選抜】QTL解析に用いる分子マーカーを選抜する目的で、パンコムギSSRマーカー74個について、タイプA(1系統)とタイプB(3系統)での多型の有無を調査した。その結果、24個(32%)のマーカーが、タイプAとタイプBの間で明瞭な多型を示した。さらに、PCR条件を検討した結果、三倍体F1雑種(ABDゲノム)から抽出したDNAを鋳型する場合でも、アニーリング温度を標準(50〜60℃)よりも10℃高く設定することで、これらのマーカーを利用できること分かった。
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