2007 Fiscal Year Annual Research Report
倍数化を導く減数分裂:非還元性配偶子形成の遺伝機構の解明
Project/Area Number |
18687001
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 由浩 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 講師 (80264688)
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Keywords | 倍数性進化 / 2n配偶子 / コムギ / 進化遺伝学 / 種分化 / 種形成 / QTL / 種間交雑 |
Research Abstract |
本研究では、種間交雑一倍数化による新しい種の形成プロセスにおいて重要な役割を果たす、非還元配偶子形成の遺伝的メカニズムの解明を目指す。パンコムギ(Triticum aestivum、六倍体、AABBDDゲノム)の祖先野生種タホコムギ(Aegilops tauschii、二倍体、DDゲノム)には、マカロニコムギ(T. durum、四倍体、AABBゲノム)と交配した場合、正常に成長し高い自殖種子稔性をもつF_1雑種(三倍体、ABDゲノム)を生じる系統(タイプA)と、正常に成長するがほぼ不稔となるF_1雑種を生じる系統(タイプB)が存在する。タイプAのタルホコムギ由来のF_1雑種は、特異な様式の減数分裂によって非還元配偶子を高頻度に形成し、安定な六倍体F_2を生じる。本年度は、タイプAとタイプBの表現型の違いを利用し、非還元配偶子形成に関与する遺伝子を連鎖分析する系を構築する目的で、以下の2点に取り組んだ。 【タルホコムギ高密度連鎖地図の作成】QTL解析に用いる分子マーカーを選抜する目的で、SSRマーカー320個について、タイプA(1系統)とタイプB(1系統)での多型の有無を調査した。その結果、130個のマーカーが、タイプAとタイプBの間で明瞭な多型を示した。次いで、これらのマーカーを用いて、予備的な連鎖分析を行ない、QTL解析用のマーカー地図を作成した。 【QTL解析のための予備的分離調査】タイプAとタイプBの交雑F_1を♂親としてマカロニコムギと交配して得た[マカロニxタルホF_1]F_1(昨年度作出)の20個体を栽培し、種子稔性について分離調査を行なった。その結果、種子稔性には明瞭な分離がみられ、この形質の遺伝分析が可能であることが確認された。さらに、これら個体からDNAを抽出し、QTL解析のための予備的なデータを収集した。
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