2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18687003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松林 嘉克 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (00313974)
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Keywords | 翻訳後修飾 / チロシン硫酸化 / 細胞間情報伝達 / 網羅的解析 / 分泌型ペプチド |
Research Abstract |
近年,シロイヌナズナゲノム解析の完了に伴い,機能未知ながら多数の受容体様キナーゼおよび分泌型低分子ペプチドをコードする遺伝子群が見出され,それらの機能およびリガンド-受容体ペアの同定に大きな注目が集まっている.そこで申請者は,分泌型ペプチドのプールである植物細胞培養液を材料として,生物検定に依存しないペプチドリガンドの網雁的な解析・同定を行なうことを計画した. (1)培養液中に含まれる高濃度の二次代謝産物や多糖類からペプチド群を純化する手法を見出し,LC-MSおよびプロテインシークエンサーを用いて高精度にペプチド群を順次同定する系を確立した.この系を用いて,シロイヌナズナ,イネ,およびアスパラガス培養細胞の培養液を解析したところ,数種類のリガンド候補分子を同定することができた.これらについて,生理機能の解析を進めている. (2)培養液中には分泌型酵素などに由来する多数のタンパク質分解断片が共存しており,これらが微量に含まれるであろう生理活性ペプチドのさらなる検出を妨げていることも明らかとなつた.そこで,独自に確立した硫酸化ペプチドの選択的濃縮法と組み合わせて解析を行なったところ,シロイヌナズナおよびイネ培養細胞の培養液から新規の硫酸化ペプチドを同定することに成功した.これらはPSKペプチドと同様に短鎖の前駆体ペプチドのC末端付近から切り出されて分泌されていた.この遺伝子の過剰発現株では,個々の細胞の肥大化が観察されており,継続して生理機能の解析を進めるとともに,受容体の同定を目指したいと考えている.この結果は,エネルギーコストの高い翻訳後修飾を受けて分泌されるペプチドには,生理機能が内包されている可能性が格段に高いことを再認識させるものであった.
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