2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18687003
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松林 嘉克 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00313974)
|
Keywords | 翻訳後修飾 / チロシン硫酸化 / 細胞間情報伝達 / 分泌型ペプチド / リガンドー受容体相互作用 |
Research Abstract |
1.エネルギー的にコストの高い特殊な翻訳後修飾やプロセシングを経て生産されるペプチド群には,重要な生理的機能が付与されている可能性が高いと考え,チロシン硫酸化ペプチドをターゲットとした選択的濃縮とLC-MS解析を行なった結果,シロイヌナズナ細胞培養液中に新しい18アミノ酸硫酸化ペプチドPSY1を同定した。様々な機能解析の結果,PSY1はPSKと酷似した細胞増殖促進活性を示し,2つあるPSK受容体のホモログのひとつがその認識に関わっている可能性が高いことが明らかとなった.合計3つあるPSK受容体ファミリー遺伝子をすべて破壊した多重破壊株では,メリステム領域を含む全身的な細胞増殖活性の顕著な低下が観察された. 2.LRR XIファミリーに属するCLV1は,翻訳後修飾を受けた短鎖ペプチドであるCLV3の受容体と予想されていたが,これまで生化学的な証拠はなかった.CLV1のように細胞増殖を負に制御する受容体分子はしばしば過剰発現が難しいが,キナーゼ領域をタグ置換型として過剰発現することにより,解析に十分な発現株を取得した.[3H]CLV3を用いた結合アッセイと[125I]光反応性CLV3類縁体によるフォトアフィニティーラベルにより,CLV3ペプチドはCLV1細胞外領域に結合定数17.5nMで直接結合することを見出した.この結果は,CLV3とCLV1がリガンドー受容体ペアとして機能していることを示す決定的な証拠である. 3.PSK受容体(PSKR1)をモデルとした実験から,受容体細胞外領域固定化ビーズを充填した小カラムを用いて,分泌型ペプチドのプールである細胞培養液から対応するリガンド(PSK)を1段階で精製・同定できることを示した.これは,受容体側からの直接的リガンドフィッシングを可能にする新しい技術である.
|