2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18687004
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宗景 ゆり 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (30423247)
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Keywords | 光合成 / 乾燥ストレス / 電子伝達 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究では、強光乾燥ストレス条件下での光合成電子伝達制御機構の解明するために、カラハリ砂漠に自生し優れた乾燥強光耐性を持つ野生種スイカを材料に、タンパク質の網羅的解析および生理解析を行っている。 野生種スイカは冠水停止2日後に土壌水分含量が20%に低下すると気孔を閉鎖し光合成が停止するが冠水停止6日後に再潅水を行うと再び光合成を開始し成長を始める。乾燥ストレス条件下でも電子伝達活性を保ち続けるが、光化学系IIの光障害はほとんど見られず、余剰光エネルギーは安全に除去されていることが示唆される。プロテオミクスを用いたタンパク質の網羅的解析によりATP合成酵素の構成因子であるイプシロンサブユニットが乾燥ストレス下で選択的に減少していることが明らかになった。チラコイド膜を単離して電子伝達活性を測定したところストレス条件下では膜の脱共役が起こりΔpH形成能が低下していることが明らかになった。イプシロンの解離によりATP合成酵素が脱共役を引き起こしプロトンを放出してΔpHを解消していると考えられる。この機能は乾燥強光ストレス条件下でチラコイドルーメンが過度に酸性化するのを防ぐと考えられる。これらの結果は現在国際誌に投稿中である。 また乾燥ストレス条件下でシトクロムb6fのリスケサブユニットのPI変動が起こることも明らかになっている。この現象は強光照射15分後にもみられることから、短時間で誘導されるリン酸化修飾によるものではないかと推測される。現在タンパク質修飾とその生理機能について解析中である。
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