2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトを標的とする毒素の細胞認識とオリゴマー化の分子機構
Project/Area Number |
18687007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北田 栄 Kyushu University, 理学研究所, 助教 (20284482)
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Keywords | Bacillus thuringiensis / 毒素 / パラスポリン / GPI アンカー型タンパク / 受容体 / 脂質ラフト |
Research Abstract |
Bacillus thuringiensis(以下Bt)が生産する結晶性毒素タンパク質は特定の昆虫のみに殺虫活性を示すが、人畜や環境に影響を与えないため、主に有害昆虫を駆除するための環境に安全な生物農薬素材として、基礎から実用化に向けて多くの研究が進められてきている。ところが近年、本研究室では殺虫活性は示さないが、特定の哺乳動物細胞を選択的に認識・破壊するBt毒素タンパク質(パラスポリン2)を同定した。本研究ではこの毒素タンパク質の細胞認識に対する細胞認識と細胞死のメカニズムを明らかにし、医薬学、生体工学応用への基礎とする。本年度は毒素の標的細胞への破壊機構と細胞受容体の同定、および構造機能相関の解明を目標に以下のような研究成果を得た。 1)細胞膜の脂質ラフトに存在するGPIアンカー型タンパク質の発現量とパラスポリン2の細胞障害性に相関があることが示唆され、またパラスポリン2はGPIアンカー型タンパク質の糖鎖部位を認識している可能性がわかった。 2)パラスポリン2結合タンパク質(受容体の候補)として約27kDaの毒素結合タンパク質を同定し、HepG2細胞での発現や局在を調べた。 3)パラスポリン2や他の膜孔形成毒素がが生体膜中で600kDa〜1MDaの大きな毒素複合体を形成していることを見出した。
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