2006 Fiscal Year Annual Research Report
少数分子による自己組織化過程の生体機能シグナル可視化による解析
Project/Area Number |
18687014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永井 健治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20311350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (80332378)
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Keywords | タンパク質 / 1分子 / 顕微鏡 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究は細胞性粘菌のcAMPに対する走化性の分子過程を可視化することで、細胞がゆらぎと同じレベルの濃度勾配の中で、その勾配の方向を的確に認識し、運動する方向を決定する仕組みを解明することを目的とした。 本年度は走化性における複数の分子活性化や動態を同時に可視化するための顕微光学系開発を行った。特に、分子活性化を捕らえるための手法として蛍光共鳴エネルギー移動を利用した機能指示薬を用いるが、そのシグナル変化をスペクトルの変化ではなく"蛍光異方性の変化"で捉えることにより、観察波長域を狭小化し、複数種の生体分子機能の時空間ダイナミクスを取得可能することを目指した。蛍光異方性とは蛍光偏光度に関連した物理量で、FRET効率の増減により変化する量である。高感度に蛍光異方性変化を捉えるため、高開口対物レンズを通過することで解消する偏光状態を補償するためのフォトニック結晶性光学素子を考案し、対物レンズの後側焦点と共役な位置に挿入した。本光学系が予想通り機能するかどうかを確かめるために、細胞骨格タンパク質であるアクチンを黄色蛍光タンパク質とフュージョンして培養細胞に発現させ、観察を行った。その結果、アクチンが重合しているストレスファイバーにおいて高い異方性が、単量体アクチンが存在する細胞質では低い異方性が観察された。アクチンの重合化を阻害するラトランキュリンAによって細胞内のアクチンを全て単量体化すると、細胞全体に渡って、低い異方性が見られたことから、本顕微光学系により異方性の変化を捉えることが可能であることが確認された。
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Research Products
(9 results)