2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンの受容領域を制御する細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
18687901
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
榎本 和生 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 助教授 (80300953)
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Keywords | 樹状突起 / 受容領域 / 脂質代謝酵素 / 脳神経回路 |
Research Abstract |
私達は、ショウジョウバエの感覚神経系をモデルとして、ニューロンの受容領域が形成・維持されるメカニズムを解析し、TrcキナーゼとWtsキナーゼが、それぞれ受容領域の形成と維持において主要な機能を果たしていることを示している。本年度は、Trcキナーゼ・シグナル伝達経路とWtsキナーゼ・シグナル伝達経路において機能する分子群の同定を行った。その結果、Wtsキナーゼ・シグナル伝達経路の構成分子としてポリコーム遺伝子群(PcG)を同定する事に成功した(Parrish et al.,Gene Dev.21:956(2007))。PcGはヒストンのメチル化修飾を介して遺伝子発現を負に制御するエピジェネティック制御因子であり、リン酸化に寄る機能制御を受けていることが示唆されている。私達は、これまでに、受容領域のタイル化前後で、突起伸展速度の低下や、同種突起間における反発運動の減少など、樹状突起の性質が大きく変化する事を示して来たが、このような突起ダイナミズムの変化は、PcGを介したエピジェネティックな転写制御によることが強く示唆された。 一方、Trcキナーゼ・シグナル伝達経路の構成分子として接着分子であるDscam(Down's syndome-associated cell adhesion molecule)を同定した。Dscamは主要精神遅滞疾患の1つダウン症候群の原因遺伝子である可能性が指摘されており、今後、受容領域の形成異常と精神遅滞疾患との関連を分子レベルで明らかにできる可能性がある。
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Research Products
(3 results)