2006 Fiscal Year Annual Research Report
SuperSAGE法による耐冷性イネ育種のためのプロモーターとDNAマーカー探索
Project/Area Number |
18688001
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
松村 英生 財団法人岩手生物工学研究センター, 遺伝子工学第一研究部, 主任研究員 (40390885)
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Keywords | イネ / 耐冷性 / 花粉 / 遺伝子発現解析 / SuperSAGE |
Research Abstract |
イネ栽培過程において最も強く低温による障害をうける出穂前の葯および花粉におけるSuperSAGE法を用いた網羅的な遺伝子発現解析を試みた。耐冷性の強い品種ひとめぼれと弱い品種ササニシキの穂ばらみ期の植物体を各々28℃および15℃で1日間処理し、その葯を凍結切片作成用に固定、包埋した。各試料の凍結切片から葯組織、花粉を各々レーザーマイクロダイセクション装置を用いて単離し、RNA抽出を行った。抽出したRNAはAgilentバイオアナライザーを用いてそのqualityおよび量を評価してRNA増幅に供試した。RNA増幅法では増幅バイアス(偏り)が大きな問題であるため、それらを従来法より抑制し、かつより微量なRNAからも確実に増幅できる技術の改良を行った。この技術により、単一の花粉細胞からでもSuperSAGE解析が可能となった。一細胞の遺伝子発現を網羅的に解析できる技術は今までに報告されておらず、今後新規技術として報告する予定である。 また、昨年に新しい大量シークエンス技術が利用できるようになり、従来よりも大量のシークエンス解析を短時間でより安価に実施可能になった。SuperSAGEにもこの技術が大いに有用であることを予備試験により確認した。さらにこのシークエンス技術を用いて複数試料のSuperSAGE解析を同時に実施する方法も確立した。この方法を用いて前述のイネ葯および花粉試料のSuperSAGE解析におけるシークエンシングを同時に進めており、各試料について数万から十万の転写産物解析データが得られる予定である。 これらの解析データを基に、花粉および葯特異的な発現遺伝子のプロモータ単離を進める。さらにこれら見いだされた遺伝子群について他の耐冷性形質の異なる品種における発現解析を行う。
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