2007 Fiscal Year Annual Research Report
Ca^2+信号伝達が関与する酵母の細胞増殖に関する研究
Project/Area Number |
18688004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水沼 正樹 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (10343295)
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Keywords | PKC1 / PKA / YAK1 / Cln2 / SSN2 / SIR3 |
Research Abstract |
(1)scz6変異株によるPkc1新規機能の解析: scz6変異は、プロテインキナーゼC PKC1の変異であった(以後pkc1-834変異と呼ぶ)。酵母Pkc1は必須遺伝子で、Mpk1の上流で機能し、細胞壁構築および細胞極性の確立に重要な役割を持つ。興味深いことに、pkc1-834変異は、細胞壁構築は正常で、細胞極性成長におけるPkc1機能の特異な変異アレルで、G1サイクリンCln2活性に欠損を有することが予想された。pkc1の新規機能を探るために、pkc1-834変異株の高温における増殖遅延を回復させる多コピーサプレサーを多数取得した。そのうちの一つプロテインキナーゼYak1に注目した。Yak1はPKA(cAMP)経路を阻害することが既に報告されていた。そこで、Pkc1とPKA経路によるCln2制御に注目した。まず、pkc1-834変異株におけるCln2活性を調べた。その結果、pkc1-834変異株におけるCln2活性は低いことが分かった。さらに、pkc1-834変異株にYak1を高発現するとCln2活性の上昇が確認された。Yak1の効果はPKAを介すると予想されたので、次に、PKAとCln2活性との関連を調べた。その結果、PKA経路はCln2活性を負に制御することが分かった。以上のことからCln2活性制御に関してPkc1は正にPKAは負にそれぞれ制御する、増殖に対する新規拮抗制御が明らかになった。 (2)scz5およびscz18変異による遺伝子発現とCa^<2+>シグナルの関係: scz5変異の原因遺伝子は、RNAポリメーラーゼIIのポロ酵素の遺伝子SSN2、scz18変異の原因遺伝子は、テロメア末端付近の遺伝子の転写を抑制するSIR3であった。SSN2,SIR3ともに細胞周期進行に重要な遺伝子の転写に関与することが示唆され、現在詳細に解析中である。
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