2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞構造をマイクロリアクターとして利用した、木材の熱分解ガスの気相成長炭素材料化
Project/Area Number |
18688008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 幸恵 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30301120)
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Keywords | 化学加工 / カーボン材料 |
Research Abstract |
前年度までの研究において、木材を黒鉛質化する過程で、木材細胞の内腔に長さ数10μm円錐形の炭素物質が成長することを見出した。X線・電子線回折による構造解析および電子顕微鏡による高分解能観察から、この円錐形炭素物質は、炭素六角網平面がらせん上に巻き上がり、円錐をなして堆積した構造であることがわかった。構造の幾何学的特性から、成長の機構はらせん転移を伴うスパイラル成長による、気相炭素化であることを突き止めた。構造と生成機構にちなみ、この円錐形炭素物質を「円錐黒鉛ウイスカ」と名付けた。この研究により、木材の炭化を従来のような固相ではなく、気相で行うことで、木材から構造規則性の高い新規材料を創製できることを示してきた。 当該年度は、(1)気相成長炭素の収率と構造を決める要素である、(1)鋳型剤の種類、(2)ガス化触媒の種類、(3)マイクロリアクタ機能に合致した処理温度プログラムに関して、最適条件の検討、および(2)他の植物素材へのこのシステムの適用、の2点に関して実験を進めた。その結果、ケイ素が局所的に多く分布するオイルパーム幹材を用いて、円錐黒鉛ウイスカの生成が確認でき、天然の植物に含まれるケイ素を鋳型剤とした場合でも、その含有量の違いにより、円錐黒鉛ウイスカの生成量に差があることが明らかとなった。また、ケイ素自体にも鋳型剤としてのみならず、ガス化あるいは気相成長の機構に関与していることが示唆された。他の鋳型剤、ガス化触媒について、生成機構の計算によるモデリングを継続中であり、これは引き続き平成21年度の基盤研究(C)において遂行する予定である。
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Research Products
(5 results)