2008 Fiscal Year Annual Research Report
セロオリゴ糖からなる外部環境応答性ナノ粒子の構築と動的機能制御
Project/Area Number |
18688009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上高原 浩 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (10293911)
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Keywords | メチルセルロース / セロオリゴ糖 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
メチルセルロース(置換度(DS)1.5-2,0)水溶液は可逆的な熱ゲル化を示す。この現象はセルロース主鎖中に存在するメチルDS3.0のグルコースユニットが架橋点となり系中の水を抱接するからと説明されている。本研究ではそのメチル化グルコースユニットを有する両親媒性セロオリゴ糖の水中での自己組織化能を詳細に検討し、結果としてメチルセルロースの基礎物性解明に貢献するばかりでなく、セルロース材料の新たな用途開発をも目的とした。具体的には、ドラッグデリバリーシステムに応用することを本研究の最終目標とした。昨年度までの研究結果から、混合物のセロオリゴ糖からなるナノ粒子とは異なり、単分散なセロオリゴ糖からなるナノ粒子は熱刺激に対して安定であり、粒子サイズはセロオリゴ糖の化学構造に依存することが判ってきた。また、その粒子は中空でベシクル状であることが各種測定により明らかになりつつある。そこで、本年度購入した動的光散乱装置(粒径測定システム)を用いてAB-ジブロック、ABA-, BAB-トリブロック型メチル化セロオリゴ糖からなる粒子のサイズに温度が与える影響を詳細に検討した。分子の両端が親水的な無保護グルコースであるBAB-トリブロック型メチル化セロヘキサースは温度変化に対して粒径は安定していることがわかった。また分子の両末端が疎水的なメチル化セロビオースであるABA-トリブロック型メチル化セロヘキサオースはその他の糖からなる粒子に比較して大きいことが分かった。また、原子間力顕微鏡(AFM)観察からもブロック的メチル化セロオリゴ糖からなる粒子構造が確認された。更に、ブロック的メチル化セロオリゴ糖からなるナノ粒子内部の空間に親水性モデル化合物カルセインを包接することができた。以上のように、ブロック的メチル化セロオリゴ糖からなるナノ粒子の基礎的な性質について知見を得ることが出来た。
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Research Products
(5 results)