2006 Fiscal Year Annual Research Report
シオミズツボワムシのストレス耐性に関わる遺伝子群の同定
Project/Area Number |
18688010
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉永 龍起 北里大学, 水産学部, 講師 (30406912)
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Keywords | シオミズツボワムシ / ストレス / マイクロアレイ / 種苗生産 / 食糧問題 |
Research Abstract |
本研究課題は,海産魚類の種苗生産において不可欠な餌料生物であるシオミズツボワムシ(以下,ワムシ)を対象として,本種のストレス耐性に関わる遺伝子群を網羅的に解析して同定することを目的としている.本年度に得られた成果の概要は以下の通りである. 1.ワムシ坑ストレス耐性遺伝子ライブラリの構築 ストレス条件下で発現する転写産物に富むライブラリを構築するために,熱ストレスを与えたワムシ個体群由来のcDNAライブラリを構築した.これをワムシ抗ストレス遺伝子ライブラリとした. 2.簡便なワムシの健康診断法の確立 家庭用の電子レンジを利用することで,簡便なワムシの健康診断法を開発した.15-35Cの3段階の水温でそれぞれ馴致したワムシに,45Cの熱ストレスを与えた.その際,電子レンジを用いて加温した.その結果,馴致水温が高いワムシほど,熱ストレス耐性が高くなることが分かった. 3.ワムシにおけるホルミシスの検証 軽度の環境ストレスにさらすことで,逆に有益な効果が誘導される現象をホルミシスという.そこで,ワムシにおいてホルミシスが起こるかどうかを検証した.酸化ストレスを引き起こす薬剤(ジュグロン)を実験に用いた.0.02mMのジュグロンで1時間の前処理を行った後,24時間の回復培養を行った.続いて,致死レベルである0.1mMのジュグロンにさらした場合の生残率を求めた.その結果,処理区の生残率が高くなり,外因性の酸化ストレスがワムシにおいてホルミシスを誘導することが分かった.さらに,上記の条件で前処理を行ったワムシに,30Cを上昇させる熱ストレスを与えた場合も,同様に無処理区よりも生残率が高くなった.
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