2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテクノロジー・ガバナンスにおける専門知の学際化に関する国際比較研究
Project/Area Number |
18688012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 秀二 Kyoto University, 経済学研究科, 准教授 (10271628)
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Keywords | 農業バイオテクノロジー / 科学技術ガバナンス / ELSA / 学際的アプローチ / 国際機関 / 多国籍企業 / 市民社会組織 / オランダ |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子組換え作物・食品(GMO)をはじめとする農業科学技術の研究開発とリスク分析を対象に、その一連の過程に関わる科学者・専門家・為政者の社会的・倫理的省察の必要性が広く認識されるようになってきた欧州諸国における科学技術政策の動向、とくにGMOに関連する各種研究プロジェクトの実施状況を考察しながら、当該技術領域における学際的アプローチの意義と課題を明らかにするとともに、そうした「専門知の学際化」の試みと到達点が、バイオテクノロジー・ガバナンスに関わる国際諸組織でいかに共有され、実践に移されようとしているのかを明らかにすることを課題としてきた。最終年度にあたる平成20年度は、第1に、4月にオランダ・ユトレヒト大学で開催されたカンファレンス「Changing Relations between Science and Society」およびアムステルダムで開催された国際カンファレンス「Genomics and Society」に自らの研究発表を兼ねて参加し、バイオテクノロジーやゲノミクス分野での「科学技術と社会の関係性」に関する研究と政策形成の到達点を学ぶことができた。第2に、当初の研究計画では、さらにOECD、UNESCO、FAO等の国際機関で「科学技術と社会」や「ELSA」に関する取り組み状況を調査する予定だったが、折からの食糧危機と金融危機によって農業・食料分野を取り巻く環境が激変し、それに関する調査研究に時間を割かれたため、実施できなかった。第3に、持続可能な大豆生産・流通のための利害関係者によるプラットフォーム「Roundtable for Responsible Soy」や、12月にアムステルダムで開催された「GM Soy Debate」などで中心的な役割を果たしているオランダ市民社会組織へのインタビューを実施し、政府組織・国際機関によるガバナンスとは異なった、多国籍企業と市民社会組織の共同による農業科学技術および農業・食料システムのガバナンスの到達点と課題を明らかにした。
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