2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18688015
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
豊田 淳 茨城大学, 農学部, 講師 (00292483)
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Keywords | ルーメン / セルロース結合性タンパク質 / 質量分析 / セルラーゼ / プロテオーム |
Research Abstract |
(背景) 反芻動物のルーメン内セルロース分解を効率化するためには、その分子メカニズムについて詳細に理解する必要がある。本研究ではルーメン内でセルロース分解をするタンパク質およびその遺伝子を同定するため、平成18年度はルーメン内から直接セルロース結合性タンパク質を分離し、可視化後、質量分析によりタンパク質の同定を試みた。 (方法) ヒツジルーメン内容物を採取し、界面活性剤で可溶化後、遠心上清を得た。この遠心上清から結晶性セルロース(アビセル)に結合するタンパク質(セルロース結合性タンパク質、以下CBPs)を分離し、2次元電気泳動およびSDS-PAGEで可視化した。得られたCBPsをLCMSMS質量分析計によりタンパク質同定した。Fibrobacter succinogenesの抗EGF抗体については畜産草地研究所の三森真琴博士より提供されたものを用いた。 (結果・考察) ルーメンから分離されたCBPsを2次元電気泳動およびSDS-PAGEした結果、CBPsは多数のタンパク質で構成されることが明らかとなった。CBPsを分離したSDS-PAGEゲルを30分割して、酵素処理後、LCMSMS質量分析した。その結果、17種のタンパク質が同定された。既知のルーメン内CBPとしてはFibrobacter succinogenesのEndogucanaseF (EGF)のみが同定された。EGFはセルロース結合能、セルラーゼ活性を持つタンパク質であり、GlycosylHydrolaseFamily51に属す。抗EGF抗体を用いてウエスタンブロットしたところ、ルーメン内CBPs中にEGFが存在することを確認した(投稿準備中)。同定された残りのタンパク質はセルロース分解に関与するか不明である。またルーメン内CBPsは未知のタンパクが多く存在することが示唆された。今後はこれらの未知CBPsに焦点を当て、その遺伝子の取得を目指していく予定である。
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