2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい抗原虫戦略を目指した原虫プロテインキナーゼの機能解析
Project/Area Number |
18688017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 健太郎 The University of Tokyo, 農学生命科学研究科, 助教 (30401178)
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Keywords | 原虫 / プロテインキナーゼ / 酵素 / リン酸化 |
Research Abstract |
原虫感染症は畜産・獣医学領域のみならず、医学領域においても甚大な被害を与え、さらに現在我が国の食に対する危機感の原因の一端をなしている。本研究では、原虫のアピコンプレックス類において保存されているプロテインキナーゼに焦点を当て、その機能発現機構を基質、会合分子との相互作用の点から解析することにより、新たな抗原虫薬開発へとつながる原虫の遺伝子発現機構、シグナル伝達機構の根本的な解明、また、開発に有用な基礎的データを蓄積することを目的とし、本年度は以下の研究成果を得た。 (1)マラリア原虫の赤血球ステージでの発育やガメトサイト形成において重要な役割を果たすことが過去の報告により示唆されているcAMP-dependent protein kinase(PKA)に注目し、小麦胚芽無細胞蛋白質合成系を用いてGST融合蛋白質の形で発現・精製に成功した。 (2)マラリア原虫のPKAの活性部位のリジン残基をアラニン残基に置換した変異体を作製し、in vitro kinase assayにてinvariant lysineのキナーゼ活性における重要性が確認できた。 (3)H89を用いた阻害剤試験の結果から、熱帯熱マラリア原虫の培養液中に加えたH89が原虫の発育阻害効果を示したという過去の報告は、マラリア原虫のPKAの阻害効果よりもむしろ赤血球中のPKAの阻害効果によるものだったという可能性が示唆された。また、PKIを用いた阻害剤試験の結果から、哺乳類のPKAとマラリア原虫のPKAとでは、認識する基質配列が大きく異なっている可能性が示唆された。
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