2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネコゲノム解析による造血系腫瘍の発症機構解明とその臨床応用への展開
Project/Area Number |
18688018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤野 泰人 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70401180)
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Keywords | ネコゲノム / リンパ・造血系腫瘍 / 染色体解析 / レトロウイルス / FeLV / 遺伝子再構成 / クローナリティ / CIS |
Research Abstract |
本研究では分子細胞遺伝学および分子生物学的手法を用いたネコゲノム解析により、造血系腫瘍における分子病態の解明および小動物臨床への応用を目的として研究を行い、以下のような新たな結果を得た。 1. 猫の造血系腫瘍における染色体異常および関連する遺伝子の解析 FISH法を用いた分子細胞遺伝学的解析により, 猫のリンパ系腫瘍におけるFeLVプロウイルスの染色体組込座位同定法を確立した。3種類の猫リンパ系腫瘍細胞株における解析では、それぞれ6箇所の組込座位が同定され、それらの一部は重複した座位が認められ、共通組み込み領域の存在が示唆された。また、FeLV共通組み込み領域であるfit-1およびpim-1のネコ染色体上座位をFISH法により決定した。 2. 猫の造血系腫瘍における外来性FeLV共通組み込み領域および関連する遺伝子の解析 FeLV感染により発症した猫の胸腺型リンパ腫において、新たなプロウイルス共通組み込み領域であるflit-1を同定した。解析した胸腺型リンパ腫におけるflit-1の変異頻度は25%であり、ゲノム解析により近傍に座位するACVRL1遺伝子の発現を増強している可能性が示唆された。 3.猫の造血系腫瘍における遺伝子再構成および診断・予後判定への臨床応用 FeLV関連腫瘍におけるプロウイルス組込解析を応用したクローナリティ検出法を確立した。この方法によりリンパ系腫瘍のみならずAMLやMDSなどにおいてもクローナリティを迅速に解析することが可能となった。また、未だ明確ではなかったFIV感染における血液異常について解明し、HIV感染と類似した病態であることが示唆された。さらに、これまで確立していなかった猫のリンパ腫における詳細な病型分類法を確立し、これは今後の治療指針の策定および予後判定に非常に有用であると考えられる。
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Research Products
(21 results)