2007 Fiscal Year Annual Research Report
水欠乏下で植物の生産性を高める切葉栽培技術の理論解明と効果の評価
Project/Area Number |
18688019
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荒木 英樹 Yamaguchi University, 農学部, 助教 (90346578)
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Keywords | 通導コンダクタンス / 切葉 / 水ストレス / 蒸散 / 乾燥地 / 透水係数 |
Research Abstract |
本申請では,水欠乏下で高い食料・バイオマス生産を達成する切葉栽培技術を確立し,現地圃場における効果を検定し得る手法の策定に取り組んでいる。本年度に実施したポット試験では,乾燥条件下でソルガムの葉の一部を切葉することによって,バイオマス生産や収量を高く維持できることを確認した.切葉個体では,気孔開度が高く維持されること,光合成速度が生育後期まで高く維持されること,日中に急激な萎れが生じない,土壌の水分消費量自体は変わらない,などの観察結果が得られる.以上の観察結果から,適度に切葉することによって土壌や植物体内の毛管水が絶たれる現象(キャビテーション)が抑制され,重度の水分欠乏を回避できるようになることが切葉技術の効果につながっていると考えられる.切葉技術の効果を圃場レベルで検証するために,インドにある国際半乾燥地作物研究所において圃場試験を展開した.圃場試験でも上記と同様な効果が認められたものの,収量が増加するには至らなかった.その原因として,同試験地の土壌が比較的粘土を多く含む土質であり,毛間の絶縁が生じにくい貯めであると考えられた.切葉技術は土質や気象によっても効果が異なると考えられるため,それらの物理的パラメータを組み込んだシミュレーションモデルの構築に取り組んでいる.このモデルでは,大気の蒸散要求や土壌の透水係数,植物体の通水コンダクタンスを組み合わせ,各要素における水の挙動を予測しようとしている.その検証のため,現地試験では作物の栽培環境などを厳密に調査している.
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