2008 Fiscal Year Annual Research Report
水欠乏下で植物の生産性を高める切葉栽培技術の理論解明と効果の評価
Project/Area Number |
18688019
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荒木 英樹 Yamaguchi University, 農学部, 助教 (90346578)
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Keywords | 通導コンダクタンス / 切葉 / 水ストレス / 蒸散 / 乾燥地 / 透水係数 |
Research Abstract |
本申請では, 水欠乏下で高い食料・バイオマス生産を達成する切葉栽培技術の効果を検定した. 本年度は鳥取大学乾燥地研究センターと国際半乾燥地熱帯農業研究所(ICRISAT, インド)において圃場試験を実施した. いずれの圃場試験においても, 切葉個体では, 乾燥ストレスに曝された個体でも気孔開度が高く維持された. また, 茎内の導管流を測定するサップセンサーによって個体あたりの蒸散速度を測定した. 切葉した個体では葉面積が小さいにもかかわらず, 無切葉の個体と同等かそれを上回る蒸散速度を示した. すなわち, 乾燥した条件下では, 切葉個体は無切葉の個体と比べて同等のガス交換速度を示し, かつ, 萎れなどの水分状態の悪化が起こりにくいことから, 水欠乏を回避する技術として切葉処理は有効であると考える. しかし, 収量をみた場合, インドで実施した圃場試験では無処理区とほぼ同等であり, 切葉処理による収量の増加効果は認められなかった. 以上のことから, 切葉効果が認められる条件を理論的に整理する必要があると考え, 土壌や植物の水理学的特性を考慮した数値シミュレーションを構築し, 切葉処理の効果がみられる条件を推定した. その結果, 切葉処理は, 粘土質土壌よりも砂質土壌で効果が高いこと, 極端に乾燥した条件よりは, 土壌に有効水がやや残余した状態(マトリックポテンシャルとして約-60kPa)で効果が見られると予想された. この数値シミュレーションを洗練することによって, 切葉効果が適応できる条件や場所の特定が可能になると予想される.
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Research Products
(1 results)