2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジアミノホスフィンオキシド・多段階促進型触媒反応系を用いる革新的含窒素化合物合成
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18689001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
根本 哲宏 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (80361450)
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Keywords | ジアミノホスフィンオキシド / パラジウム / 2級ホスフィンオキシド / タングトリン / デカヒドロキノリン / アレン / 触媒的不斉合成 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度となる本年度は、2年目までに開発してきた方法論の応用研究を中心に多角的な研究展開を目標に研究を行って来た。キラルジアミノホスフィンオキシド配位子を用いる遷移金属触媒反応の開発としてはアレン類の高選択的な触媒的不斉合成に成功した。Pd-DIAPHOX触媒系を用いるアリル位置換反応を用いる事により、種々のアレン化合物を最高で99% eeの光学純度で得た。本反応の生成物は金触媒を用いる反応により軸上の不斉を炭素上に転写することが可能である。ジアミノホスフィンオキシド配位子を用いる触媒反応の応用研究としては、近年抗がん作用が報告された天然物であるタングトリン、及びデカヒドロキノリンアルカロイドの全合成研究へと展開した。前者に関しては、Pd-DIAPHOX触媒系を用いるアリル位アミノ化反応、並びにシャープレス不斉エポキシ化反応を組み合わせる事により、光学的に純粋な中間体を得るに至り、十数工程の変換反応を経る事によりタングトリンの初の不斉全合成に成功している。後者に関しては、トランスデカヒドロキノリンの骨格構築法の開発に成功しており、現在天然物の合成に展開している。一方、新規合成手法の開拓として、Pd触媒を用いるフリーデルクラフツ型アリル位置換反応を用いるスピロヘキサジエノンの新規合成法の開発に成功している。また、多段階促進型触媒の創成を志向した新しい展開として、新規2級ホスフィンオキシド配位子のデザイン、合成を行い、Pd触媒、Ir触媒を用いる反応系にて予備検討を行い、中程度の選択性にて目的物を得る事に成功している。今後、これらの研究結果をもとに発展的な研究展開を目指す。
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