2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤における遺伝子発現変動を考慮したin vivo発生毒性評価とその方法論の確立
Project/Area Number |
18689006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 剛 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助手 (50303988)
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Keywords | 中毒学 / 胎盤 / アロマターゼ / 生殖発生毒性 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
本研究では、医薬品等の化学物質の毒性や副作用の標的臓器として胎盤に注目し、いかなる胎盤機能(遺伝子)が変化した場合に、胎児に対してどのような影響が及ぶのかをin vivoで簡便に検討を行うことが可能な評価系の構築を最終目標としている。そこで、化学物質により変動が認められた胎盤中の遺伝子を、胎盤特異的に発現させて胎児への影響を検討するために、胎盤特異的遺伝子発現トランスジェニックマウス(P-TGマウス)とレンチウイルスベクターを用いる2つのアプローチを試みた。P-TGマウスは、マウス胎盤特異的に発現する分子の2種類のプロモーターをそれぞれ目的遺伝子の上流に連結し作成した。その結果、どちらにプロモーターを用いた場合においても、胎盤特異的なレポーター遺伝子(EGFP)のmRNA発現が確認された。またその発現は、齧歯類胎盤のgiant cellに特異的で、妊娠中期から後期にかけて時期特異的に発現することも明らかとなった。一方で、P-TGマウスは前述のような特徴を有するものの、逆にこのことはプロモーターの分子が元来発現している胎盤部位でしか目的遺伝子の発現が期待できず、また発現する期間もその分子が発現する期間に限られてしまうため、妊娠初期の影響等を検討できないという欠点を有している。そこでTGマウスの作成にも応用されているレンチウイルスベクターを用いて、胎盤特異的な遺伝子発現を行うことを試みた。レンチウイルスベクターを用いてTGマウスを作成する際には、マイクロインジェクション法と同じく2-4細胞期胚に感染させることで目的遺伝子を導入するが、胚盤胞期に感染させることで胎盤だけにレポーター遺伝子(EGFP)を発現できることが確認された。これらの手法により胎盤特異的な遺伝子発現制御が可能となり、胎盤の遺伝子変動に伴う発生毒性評価を行うことができると考えられる。
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