2007 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤における遺伝子発現変動を考慮したin vivo発生毒性評価とその方法諭の確立
Project/Area Number |
18689006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 剛 Osaka University, 大学院・薬学研究科, 助教 (50303988)
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Keywords | 中毒学 / 胎盤 / アロマターゼ / 発生毒性 / 遺伝子改変マウス / レンチウイルス |
Research Abstract |
本研究では、医薬品等の化学物質の毒性や副作用の標的臓器として胎盤に注目し、いかなる胎盤機能(遺伝子発現)が変化した場合に、胎児に対してどのような影響が及ぶのかをin vivoで簡便に検討を行うことが可能な評価系の構築を最終目標としている。今年度は、レンチウイルスベクターを胚盤胞期に感染させることで胎盤特異的目的遺伝子を発現させる手法を用いて、胎児期におけるエストロゲン曝露の影響を検討できるモデルを作成し、その表現型について検討を行った。本手法を用いてヒトアロマターゼーEGFP融合蛋白(AromEGFP)を胎盤で発現させたところ、胎盤形成初期からAromEGFPの高いmRNA発現が確認された。またmRNAの発現を反映して、胎盤での高いアロマターゼ活性が分娩直前まで確認された。さらに胎盤と胎児のエストロゲン濃度は、野生型マウスの100倍以上であった。しかしながら母体血中のエストロゲン濃度は、野生型胚を持つ妊娠マウス5倍程度に留まり、またプロゲステロンやアンドロゲン濃度に変動は認められなかったことから、母体へのネガティブフィードバック等の影響はないと考えられた。以上のことから本系は、胎児への直接的なエストロゲン曝露の影響を検討できるモデルとなると考えられた。このマウスを用いて胎盤、胎児へエストロゲン曝露の影響について検討を行ったところ、胎盤形成には影響が認められず、また胎児においても重量がわずかに低くなる以外は特に影響は認められなかった。これらの結果から、胎児期における高濃度のエストロゲン曝露は、胎児に対してそれほど致命的ではないことが明らかとなった。
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