2006 Fiscal Year Annual Research Report
加齢変化に伴う炎症反応に対する核内受容体の抑制的作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
18689012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20323579)
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Keywords | トランスリプレッション |
Research Abstract |
核内受容体は、リガンド依存的な転写促進作用のほかにリガンド依存性な転写抑制作用を有している事が明らかになってきており、トランスリプレッションと呼ばれている。トランスリプレッションは、マクロファージに代表される自然免疫、炎症性変化と密接に関わり、サイトカインや外来刺激に反応した炎症性応答遺伝子群の発現を、リガンド依存的に抑制する現象として知られており、これまでにその作用機構、核内受容体の特異性について研究を行ってきているところである。本課題では、炎症性変化やトランスリプレッションの抗原特異性、細胞特異性、加齢性変化について検討を行っているが、本年度は老化モデルマウス由来の初代培養細胞系マクロファージおよび野生型(対照群)由来のマクロファージを用いて、炎症性応答遺伝子のbasal expressionの比較をmRNAレベルで検討した。その結果、老化モデルマウス由来マクロファージでは、炎症性応答遺伝子群の一部に、対照群に比べて有意に高い発現が示唆される結果が得られ、Toll-like receptor(TLR)リガンドによる炎症性応答遺伝子の発現誘導においても加齢性変化が認められた。核内受容体の中でもグルココルチコイド受容体(GR)を介したトランスリプレッションにおいて、老化モデルマウス由来マクロファージでは対象群と比べて、一部の炎症性応答遺伝子で抵抗性を呈した。今後、各種TLRリガンド刺激や細胞種間におけるトランスリプレッションの差異、およびその加齢性変化についても更に検討を進めていく予定である。
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