2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がん細胞の悪性形質化を制御する新しい機能性RNAの解明
Project/Area Number |
18689018
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 茂忠 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40304513)
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Keywords | VEGF / 腫瘍抑制遺伝子p53 / RNAサイレンシング / 大腸癌 / 機能性RNA |
Research Abstract |
VEGFの機能性IRES RNAによる腫瘍抑制遺伝子p53ネットワークの異常の分子機構を解明することを目的とし、以下の研究を行った。 (1)VEGF機能性IRES RNAによるp53遺伝子ネットワーク異常の解析:VEGF IRES RNAを大腸癌細胞株HCT116に過剰発現させると、p53の発現がmRNAレベルで強く抑制され、抗癌剤よる一連のp53ターゲット遺伝子の誘導も強く抑制されていること、さらにこのp53経路の破綻により癌細胞が強い抗癌剤耐性を獲得していることを明らかにした。 (2)VEGF機能性IRES RNAによるp53遺伝子発現サイレンシングの分子機構の解析:VEGF IRES RNAはp53mRNAの5'末端300塩基の領域と相補的な領域を有し、この領域を介してRNA-RNA複合体を形成することを明らかにした。この複合体形成を起点として翻訳とカップリングしたp53mRNA分解が起こることをin vitro実験系で明らかにした。今後、細胞内でも同様のサイレンシングが生じているかについて検討していく予定である。 (3)VEGF機能性IRES RNAのターゲットRNAの同定と細胞内発現変動の解析:oligoDNA microarray解析の結果、VEGF IRES RNAを大腸癌細胞株HCT116に過剰発現させると、p53とその関連遺伝子以外にも幾つかの遺伝子が特異的に増加あるいは減少していた。これらの結果を基に、p53以外のターゲットRNAを探索する目的で、VEGF IRES RNAプローブを作製しHCT116細胞のRNAと直接相互作用したRNAを回収して、cDNA libraryを作成した。現在、得られた各クローンの同定作業を行っている。
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