2006 Fiscal Year Annual Research Report
心不全重症化の分子機序解明と、それに基づく遺伝子治療法開発
Project/Area Number |
18689019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 啓之 東北大学, 先進医学研究機構, 助教授 (20321945)
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Keywords | 心不全 / 分子機序 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々は、拡張型心筋症に代表される重症心不全に対する、心移植に代わる遺伝子治療法を開発すべく、本研究を開始した。重症心不全時の心筋細胞では、原疾患によらず共通して細胞内骨格と細胞外基質を橋渡すジストロフィン関連蛋白複合体(以下DAP)の崩壊が見られる。これにより心筋細胞膜を裏打ちしているジストロフィンが遊離・分解され、筋ジストロフィー様の変性・壊死につながると考えられている。DAP崩壊は、複合体を構成する膜蛋白いずれか一つの欠損(遺伝性心筋症)あるいは量減少(一般的な心不全)によりもたらされる。より具体的には、後天的要因による心不全、例えば冠結紫で梗塞後心不全をきたしたラット心では、DAP構成因子の一つの蛋白量のみが著減している(申請者ら、発表済)。ところが転写量では対照ラット心と有意差のないことから、この蛋白量減少には分解など転写後の機序が示唆された。サルコグリカンの異常で発症することのある骨格筋ジストロフィーの一部には、その分解酵素、カルパインの遺伝子異常によるものが存在することから、申請者らはこの酵素に着目した。心筋におけるメジャーなカルパインであるm・カルパインは、in vitroで上記蛋白を含め様々な蛋白を基質とする。ところが梗塞後不全ラット心では上記蛋白は選択的に分解され、この選択性の機序は判っていない。そこで申請者は、上記蛋白をカルパインによる分解に供し、心不全一般で増悪に働く蛋白を検索しようと考えるに至った。そのためにまず酵母two・hybrid法により侯補蛋白を選別した。続いて培養細胞においてこの蛋白を強制発現し、その機能を検討した。今後は、in vitoroで、このcDNAを発現蛋白として得て蛋白分解の再構成系に添加し、蛋白の相互作用関係や分解効率への影響等を調べる所存である。引き続き小動物、ひいては大型動物において、個体レベルでの機能解析を行う計画である。
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Research Products
(1 results)