2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞-骨芽細胞ニッチ相互作用の成立・維持の分子機構
Project/Area Number |
18689024
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新井 文用 Keio University, 医学部, 講師 (90365403)
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Keywords | 造血幹細胞 / ニッチ / N-cadherin / 間葉系前駆細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
1. N-cadherinを介した造血幹細胞とニッチの接着は、R-cateninの核内移行を調節することで、β-cateninシグナルの活性化を制御し、さらに細胞周期抑制因子の発現を増強させることにより、造血幹細胞の静止状態の維持に働くことを明らかにした。さらに、N-cadherinを介した接着を増強することにより、造血幹細胞が連続骨髄移植のストレスや酸化ストレスに対し抵抗性を示すことを見いだした(Hosokawa et al. Cell Stem Cell, in revise)。これらの結果は、幹細胞とニッチの接着を増強することによって造血幹細胞をストレスから保護できることを示唆するものと考えられた。 2. 内骨膜領域の細胞が、間葉系前駆細胞、骨芽細胞前駆細胞、成熟骨芽細胞を含む分画に分かれることを見いだした。さらに、マイクロアレイ解析による各細胞集団の遺伝子発現解析の結果、間葉系前駆細胞はAngiopoetin-1、Thrombopoietin、Cxcl12などのサイトカインの発現が高く、これらのサイトカイン等を介して造血幹細胞の制御に関わっているのに対し、成熟骨芽細胞はN-cadherin、osteopontinなどの細胞接着分子を高発現し、造血幹細胞の細胞接着の足場として機能していると考えられた。これらの結果から、内骨膜ニッチでは、多様な細胞が役割分担を持ってニッチ複合体を形成し、幹細胞を制御していると考えられた(Nakamura et al. in preparation)。
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