2007 Fiscal Year Annual Research Report
膝レントゲンデジタル処理による変形性関節症の重症度定量システムの確立
Project/Area Number |
18689031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 敬之 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 特任助教 (60401064)
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Keywords | 変形性関節症 / 画像診断 / CAD / データベース |
Research Abstract |
変形性関節症は健康寿命を短縮させる主要な原因疾患であるが、その研究は遅れており、客観的かつ定量的な重症度の評価方法も存在しない。本研究では医用工学的手法を駆使して、変形性膝関節症(膝OA)のX線画像上の複数の重症度指標を自動的に計測できるコンピュータ支援診断システムKOACAD (knee OA computer assisted diagnosis)を確立し、その精度と臨床症状との相関について検討した。 立位膝関節単純X線画像の、デジタルフィルタによるノイズ除去、輪郭線の抽出、情報の統計処理による基準点標準化を経て、内・外側の関節裂隙の最小距離(mJSW)および面積(JSA)、内側の骨棘面積(OPA)および大腿脛骨角(FTA)を自動的に計測するソフトを開発した。大規模OA疫学プロジェクトROADの計3,030例のデータベースから無作為抽出した50膝についてその精度を検討したところ、手動計測での評価者間、評価者内級内相関係数はそれぞれ0.54〜0.72、0.62〜0.75であったのに対し、KOACADではすべて1.00であった。続いて、ROADデータベースの内、板橋区コホートの60歳以上の一般住民1,979膝を膝痛群(594膝)と非膝痛群(1,385膝)に分けてKOACAD各種指標の平均値をt検定で解析したところ、全ての指標が有意差を示した。年齢を補正した上でのロジスティック回帰分析では、男女ともに内側mJSWの減少が膝痛と最も強い相関を示し、オッズ比は男性1.44、女性1.41であった。 膝OAの重症度評価システムKOACADを世界に先駆けて開発し、その良好な精度を確認した。本法は簡便な測定法であり、骨粗鬆症における骨密度測定のように、膝OAの客観的な診断基準の確立、および治療の正確な評価法としてその開発に寄与することが期待される。
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Research Products
(31 results)