2008 Fiscal Year Annual Research Report
膝レントゲンデジタル処理による変形性関節症の重症度定量システムの確立
Project/Area Number |
18689031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 敬之 The University of Tokyo, 医学部・付属病院, 特任助教 (60401064)
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Keywords | 変形性関節症 / レントゲン / コンピュータ診断支援 / データベース / 疫学 |
Research Abstract |
変形性膝関節症(膝OA)は、高齢者の健康寿命を短縮させる重大な疾患であるにも拘わらず、臨床症状と相関する診断基準が明確にされていない。この原因には診断に利用するX線画像を定量化する手法が確立していないことが挙げられる。そこでX線画像定量値を、全自動で出力するCAD(computer aided diagnosis)システムの開発を行い、現在着手している大規模住民コホート : ROAD(research on osteoarthritis against disabilityプロジェクトでのX線画像について検討を行った。 開発したシステムは立位にて撮影した膝関節正面X線画像をデジタル処理して重症度指標に対する計測値 : 内・外側の関節裂隙の最小距離(mJSW)および面積(JSA)、内側の骨棘面積(OPA)、大腿脛骨角(FTA)を出力する。大規模OA疫学プロジェクトROAD登録者のうち60歳以上の一般住民1, 979膝を膝痛群(594膝)と非膝痛群(1, 385膝)に分けて各種指標の平均値をt'検定で解析したところ、全ての指標が有意差を示し、p値は内側mJSW : <0.0001、外側mJSW : 0.0044、内側JSA : <0.0001、外側JSA : 0.0013、OPA : 0.0002、FTA : <0.0001であった。年齢を補正した上でのロジスティック回帰分析では、男女ともに内側mJSWの減少が膝痛と最も強い相関を示し、オッズ比は男性1.44(95%CI : 1.15-1.82)、女性1.41(95%CI : 1.22-1.62)であった。膝OAの重症度評価システムを世界に先駆けて開発し、その良好な精度を確認した。本法は簡便な測定法であり、骨粗鬆症における骨密度測定のように、膝OAの客観的な診断基準の確立、および治療の正確な評価法として利用出来るものと考える。
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Research Products
(21 results)